【薬剤師が解説】子どもの日焼け止めの選び方と紫外線対策の基本

子どもの肌はとても敏感。自分のスキンケアで手一杯で、つい子どもの日焼け対策が後回しになっていませんか?
でも実は、子どもの頃の紫外線対策こそが、将来の肌の健康に大きな影響を与えるのです。

この記事では、なぜ子どもに日焼け止めが必要なのか、紫外線の種類や日焼けの仕組み、日焼け止めの成分の違い、SPFとPAの選び方、そして具体的なシーン別の使い分けについて、薬剤師の視点からわかりやすく解説します。


子どもに日焼け止めが必要な理由

生涯に浴びる紫外線量の50%以上は18歳までに浴びるといわれています。
かつて「日光浴は健康に良い」とされていた時代もありましたが、1998年の母子手帳改定以降、その考えは大きく変わりました。

日焼けは見た目以上に肌のダメージを蓄積します。将来的なシミや皮膚疾患を防ぐためにも、幼少期からの紫外線対策がとても大切です。

肌質(スキンタイプ)による日焼けの違い

  • タイプⅠ:非常に赤くなりやすく、黒くならない
  • タイプⅡ:すぐに赤くなり、わずかに黒くなる
  • タイプⅢ:赤くなった後、やや黒くなる
  • タイプⅣ:あまり赤くならず、すぐ黒くなる
  • タイプⅤ:めったに赤くならず、非常に黒くなる
  • タイプⅥ:決して赤くならず、非常に黒くなる

日本人は主にタイプⅡ~Ⅳが多く、赤くなりやすい肌質の子どもは特に注意が必要です。

紫外線と日焼けの仕組み

日焼けには大きく分けて2種類あります。

  • サンバーン:UV-Bによる急性炎症。肌が真っ赤になり、水ぶくれや痛みを伴うことも。
  • サンタン:主にUV-Aによる色素沈着。肌が褐色〜黒色に変化します。

どちらも肌へのダメージとなり、繰り返すことで慢性的な肌トラブルの原因になります。

天気と紫外線量の関係

晴れの日だけでなく、曇りや雨の日も紫外線は降り注ぎます。

  • 晴れの日:UV-B 100%
  • 薄曇り:70~80%
  • 雨:20%

UV-Aは曇りでも晴天と同じレベルで降り注ぐため、「曇っているから大丈夫」は通用しません。

日焼け止めの有効成分

紫外線吸収剤

紫外線を吸収し熱に変えることで肌を守ります。代表成分:ケイ皮酸系、PABA系、ベンゾフェノン系など。

注意: 肌への刺激が強く、敏感肌や子どもには不向き。

紫外線散乱剤

肌の上で紫外線を反射してブロックします。代表成分:酸化チタン、酸化亜鉛。

安全性が高く、子どもには散乱剤中心の日焼け止めがおすすめです。

SPFとPAの意味

  • SPF:UV-Bを防ぐ力。数値が高いほど効果が持続。
  • PA:UV-Aを防ぐ指標。「+」が多いほど効果が強い。

例:SPF20は、何も塗らなければ10分で赤くなる人が、200分間日焼けしにくくなるという意味です。

シーン別!日焼け止めの選び方

使用シーンおすすめSPFPAランク 日常生活(散歩・買い物など)5〜20+ 屋外レジャー・軽いスポーツ10〜30++ 海や山でのレジャー30〜50++〜+++ 高地や赤道付近、敏感肌の人50++++

ただし、高い数値の日焼け止めは刺激も強い傾向があるため、子どもには低刺激・紫外線散乱剤ベースの商品を選びましょう。

日焼け後のケアも大切

万が一日焼けしてしまった場合は、早めのアフターケアが重要です。

  • 冷たいタオルやシャワーで冷却
  • 化粧水や乳液で保湿
  • 水ぶくれができた場合は早めに皮膚科受診

子どもの肌は薄くてデリケート。紫外線ダメージを最小限に抑えるには、「塗る」ことと「守る」ことをセットで考えることが大切です。


紫外線対策は「大人の美白」だけの話ではありません。子どもの将来の肌の健康のために、今からできることを一緒に始めていきましょう。

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